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第2話 / 全23話
小さな高校の図書館棟。ここが俺の所属する文芸部の活動場所だ。夏休みの間幼馴染はここにいるはずだ。
二階に上がりがらがらと空き教室の扉を開けると、見慣れた顔ぶれがパソコンに向き合っていた。その中にふわりと揺れる金髪を見つける。
彼女の対面で眼鏡の男子が厳しい口調で話していた。
「おい、久遠。お前は全く改善しないな。何度も言っているだろう。お前の文章は読んでいて面白みがないと――」
「……ちわー。お久しぶりです」
俺の声に、幼馴染——久遠スイがぱっと顔を上げた。
「……あ。びっくりした、濡れ女かと思った。男だけど。……ふふ、元気だった?とりあえず入って。ほら」
彼女はぐいぐいと俺を部室に引っ張りこむ。強引なところは俺を無理やりこの部活に入れた時から変わっていない。
部長の真田キョウヤが眉を寄せた。
「……おい、吹雪。なぜそんなに濡れている。お前は来るたびに部室の床を汚さないと気が済まないのか?」
後輩の千夏アヤカが修理していたパソコンから顔を上げた。
「ああああーっ! 超お久しぶりっすね! 会いたかったっすよ、センパイ……!」
彼女は機械いじりを放り出し、笑顔で駆け寄ってくる。どこか笑顔が固いように見えるのは俺の気のせいだろうか。
その時、工具が机の下に落ちているのが見えた。
「千夏。そこの工具、無いと困るんじゃないか?」
「わわっ、ここにあったんすね! センパイ、よく気づきましたね?」
部長がこちらの様子を見て眼鏡を上げる。
「ふむ……」
部長の袖からのぞく古いあざや傷跡に俺は視線を止めた。以前よりわずかに減っている。良かった、と胸の奥で思う。だが、それを本人に言ったことはない。
部長の傷を見ていると、背後からぽんと肩を叩かれた。
「よう、よく来たな。バイトはどうした? もしかして、まーたクビになったのか。はっはっは!」
豪快に笑って俺の頭を力強くかき回すのは顧問の岩セン。……俺の父親代わりのような人でもある。
「……うす。皆も元気そうで良かった」
俺は皆を見回して挨拶を返した。
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