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第1話 / 全1話
私の名前は薫です。
男と女のかみ合わない恋愛。
お互いが自分の想いをキチンと伝えていると思い込んでいる。
そんなおかしい小説を書こうと私は試行錯誤していました。
キャラクター達自身は意識していない男女倒錯。
私の名前の通りです。
主人公の性別と年齢は迷いました。
最終的には十歳の女の子になったのですが、悩みました。
彼女が「彼」だとすると、どうしても話に合わない。
物語を実話だと考えるとすると、主人公は「彼女」だったと考えざるを得ない。
不思議な話です。
自分で自分に問いかけると、そこには「ステレオタイプの女の子」が、性別に関わらずに「存在したはず」という返事が返ってくる。
仮に彼女が「彼」だったとしても、それは「女の子のような男の子」だと。
なぜかとさらに問いかける。
主人公はステレオタイプと呼んでよい性格です。典型的と言ってよいかもしれません。
いや、そのような典型は避けられる傾向にあるから、逆説的ですが典型すぎるゆえに典型ではないのかもしれません。
いずれにしても、それが面白いか面白くないかはとりあえず横にどけておいて、私はそのような主人公の奇妙な人生を追いかける事にしました。
典型的な主人公は自分通りの典型的な人生を送ろうとしますが、周囲の悪意にそれを阻まれ、ついには決壊して誘われるがままに破滅への道を歩みます。
しかし最後には倒錯した最愛の人との再会により自分を取り戻します。
さらにしかし、それは別世界への旅立ちを意味しました。
その後の「彼女」を知る者はいないという物語です。
このストーリー展開から言って、主人公は男性であっても女性であっても、ステレオタイプとしての「女性」であり「子供」であったはずだと私は思いました。
そういうわけで主人公は「少女」であるはずという事で、私はお話を書き始めました。
仮に彼女が「彼」として描いたとしても、おとなしくて、戦いを好まない男の子であった事でしょう。
ステレオタイプとしての「男性的なものと女性的なもの」の触れ合いとぶつかり合いは物語のテーマでした。
それが私自身の性格や人生と関係するかと言えば、少しは関係するのかもしれません。
私の名前は薫です。
ヒロミさんと同様に、女性にも男性にも付けられる名前です。
他方で主人公には明らかに女の子と分かるものになりました。
私は自分自身に問いかけます。
彼女は、最初ステレオタイプの「少女」であり、「少女」であり続けたかったけれども、それを削ぎ取ろうとするものから激しい攻撃を受け、耐え忍んでいたがついに決壊して破滅の道に足を踏み入れたのではないかと。
なぜ年齢が十歳なのだろうと私は考えました。
年齢が例えば十四歳だとしましょう。
現代日本で言えば女子中学生です。
その事に私は違和感を覚えたのだと思います。
より具体的に言うと、物語の舞台で少女は十歳から十四歳に至るまでどう過ごしたのか。
いや、どのようにして「過ごす事ができたのか」。
もっと大胆に言うと、どのようにして生き延びる事ができたのか。
私が見つけた答えは、そのような事は舞台設定上「あり得ない」という事でした。
世俗的な意味での彼女の年齢は「十で終わり」だったのです。
「ステレオタイプの女の子」と言うと、性格的に受け身で主体性に欠けると思われるかもしれませんが、そのように思われた方は、おっしゃる通りで正しいと私は思います。
しかし、性格的に受け身でも多少の好奇心はあってもよいのではないでしょうか。
その一つが、くさいようですが「恋」です。
ただし、私が描いた物語の少女の「恋」は倒錯していました。
本人はラブコメのつもりなのですが完全に倒錯した恋でした。
その倒錯に本人も最後に気付きますが、彼女はそれを受け入れます。
そして舞台を去ります。
私が書いたのはそのような倒錯の物語でした。
私自身もそのように倒錯した人間なのかもしれません。
私は決して自分自身の事を書いたわけではありません。
私が書いたのは、あくまで主人公の少女の物語です。
私は物語の中で、悪い意味で対比する二つの字として「豪」と「妖」の漢字を使ってみました。
ステレオタイプとしての男性と女性の対比として使ってみました。
男女のどちらが正義でどちらが悪という事ではありません。
しかし両者が本気でぶつかり合えば、両方とも砕け散って滅びるという過程を物語では少し表現してみました。
野獣的な「豪」の力に少女は憎悪に満ちた「妖」の力で立ち向かいますが、これは諸刃の剣でした。
彼女は少女でも少年でもなくなり、悲惨な姿になります。
少女の悲惨な姿に、私は何を重ね合わせていたのでしょうか。
自分自身でしょうか。それとも他の何かでしょうか。
少女にとっての救いは、倒錯した恋でした。
厳密にはその恋は彼女の勘違いだったのですが、それを受け入れる事で彼女は自分を取り戻します。
その救いは、もしかすると私の願いであり幻想であり純粋な創作物だったのかもしれません。
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