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第1話 / 全3話
「――は? 死ぬの? 俺、これで死ぬの?」
異世界に転生して早三日。ソウタは、目の前に浮かぶ半透明のウィンドウを前に、素っ頓狂な声を上げていた。
底辺ゲーム実況者として五年間、誰にも見られない配信を続けてきた男。そんな彼が女神から授かったスキルは、聞こえだけは景気のいい【視聴者ガチャ】。だが実態はとんでもない代物だった。
▼スキル【視聴者ガチャ】
一定時間ごとに、かつてソウタの配信を見ていた"視聴者"の中から一人がランダムに選出される。
選ばれた視聴者の願望――すなわち「無茶振り」が、この世界に強制的な"指令"として降臨する。
指令を一定時間内に遂行しなければ、対象は即死する。
拒否権は、ない。
「聞いてないんだが!? 誰だよこの鬼畜スキル作ったやつ!!」
叫んだ瞬間、目の前の空間がびりびりと歪み、視界いっぱいに巨大な半透明ウィンドウが轟音とともにせり上がってきた。まるでかつて遊んでいたガチャゲーの演出そのものだ。
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スキル発動:【視聴者ガチャ】
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▼STEP1:対象者スキャン中……
進捗 :██████████ 100%
状態 :過去の視聴履歴データベースを検索……接続完了
▼STEP2:当選候補、絞り込み中――
候補:????? ????? ????? ????? .........
候補:????? ????? ????? ..............
候補:????? ????? .................
※候補者リストの文字列が高速で明滅し、次々と絞られていく※
▼STEP3:抽選――
◎ ◎ ◎ ◎ ◎
◎ ★ ◎ ◎ ◎ ← カーソルが暴れ回る
◎ ◎ ◎ ★ ◎
……ピタリ、と静止。
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当選者確定
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ハンネ :無茶振り将軍
称号 :常連中の常連・危険物件請負人
発動まで:00:00:05
危険度 :★★★★★(MAX)
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00:00:04……00:00:03……
その名前が確定表示された瞬間、ソウタの背筋が凍った。無茶振り将軍――かつての配信で、誰よりも過激な要求を投げ続けてきた常連中の常連だ。
同時に、コメント欄を模した半透明の文字列が、ソウタの視界の端に流れ込んでくる。
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[無茶振り将軍]:おいソウタ、久しぶりだな
[無茶振り将軍]:目の前に聖女っぽいのいるだろ。今すぐ愛の告白しろ
[無茶振り将軍]:よし、これいけ
[底辺時代からの生き証人]:懐かしいなこの理不尽さ
[名無しの視聴者]:即終了で草
[名無しの視聴者]:頑張れー(小声)
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続けて、無茶振り将軍のコメントを吸い上げるようにして、目の前に指令確定のウィンドウが叩きつけられるように表示された。
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指令確定
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内容 :目の前の女性に愛の告白をせよ
制限時間:00:00:05以内
未達成の場合……対象は即座に消滅する
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「聖女って……」
言われて振り向けば、王都の大通りを、純白のローブを纏った女性が静かに歩いているのが見えた。凛とした佇まい、周囲の民が思わず道を空けるほどの神々しさ。
「あの人に、告白……!?」
視界の端で、残り時間の表示だけが赤く点滅しながら刻一刻と減っていく。00:00:02、00:00:01――
「あああああもうやってやらあああああ!!」
ソウタは絶叫しながら駆け出した。聖女の前に躍り出て、片膝をつき、震える声を振り絞る。
「一目見た瞬間、恋に落ちました! 俺と……付き合ってください!!」
しん、と大通りが静まり返った。周囲の視線が突き刺さる。ソウタの脳裏に「ビンタ確定」の三文字がよぎった――が。
聖女は、ぽっと頬を染めて、こう言った。
「……こんなに真っ直ぐな告白、初めてです。私でよければ」
「は?」
素っ頓狂な声を上げたのは、ソウタだけではなかった。コメント欄が一斉に沸き立つ。
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[無茶振り将軍]:は!?!?!?
[尊死予備軍]:え待ってこれもう尊いんだが
[底辺時代からの生き証人]:お前まさかの成功体験草
[名無しの視聴者]:神回すぎるwwwwww
[名無しの視聴者]:初手からこれは伝説
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ウィンドウには、けたたましい音とともに眩い光を放つ文字が躍った。
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指令達成
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無茶振り将軍の願望:成就
対象の生存 :確認
NICE GACHA!!
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ソウタは死を免れた。だが同時に、聖女の熱い視線と、王都中からの好奇の目という新たな試練を背負うことになったのだった。
「……なんだよこのスキル。理不尽すぎるだろ……」
呟くソウタの頭上に、次のガチャが早くも準備を始めていることなど、彼はまだ知らない。
……さて、明日の無茶振りは何だ? 第2話へ続く。
―――
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