
「君、もうすぐ死ぬよ」 その声に、明日香は静かに「知ってる」と答えた。 死期の近い者にしか見えない死神と、目の見えない少女。 死神は死の匂いだけを知り、明日香は香りで世界と記憶を抱きしめて生きてきた。 名を持たなかった死神は、彼女から「薫」という名をもらう。 七つの夜、明日香は自分が生きてきた匂いを、ひとつずつ薫に語っていく。 触れられないまま、それでも薫は、明日もここへ来たいと願うようになる。 約五百年、明日を必要としなかった死神が、初めて明日を欲しがる。 生と死の境界にいる二人の、静かで儚い七夜の物語。
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