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「かわいい」は、奏音にとって絶対の正義だ。週末だけ、誰よりもかわいい女の子──カノンになる。それが沢渡奏音の、ささやかで秘密の楽しみだった。 ある休日、カノンの姿でナンパしてきたのは、よりによって同じクラスの橘透哉。顔がよくて女癖が悪いと評判の彼は、奏音がクラスメイトだと見抜いた上で、こう持ちかけてくる。「俺とカレカノごっこしねー?」 かわいいものが好き。ただその共通点だけで始まったはずの、奇妙な疑似恋人ごっこ。週末を重ねるごとに広がっていく世界と、右耳で毎日揺れる、透哉がくれたピアス。 これは、ただの「ごっこ」のはずだった──。
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