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第1話 / 全2話
私は,アミリア。現在16歳の美少女剣士。
そんな私は、今ピンチだった。なんか林から出てきた四つ足の獣、ハウンドに襲われていて……。
「えーとあのこれってピンチ?白馬の王子様とか来ないの?」
やってきたのは,白馬の王子様ではなく白色のハウンド。一回りでかいからボスなんだろう。
「はあ。」
私はため息をつく。私の師匠から言われた大切な言葉「ギャルは二十歳まで」じゃなくて、この剣に伝わる伝説。
私の後ろを取ったハウンドが襲いかかって来た。
私は軽くいなすと、剣を振り下ろす。
「痛いじゃないかアミリア。俺を振り回すなよ。」
やはりだ。この剣なんの因果か喋るのだ。
「あれは俺のいた世界では狼に似ているな。」
「剣はしゃべるな」
鬱陶しいったらない。更に「俺は,こことは違う世界から来た」とか変なことばかり言うのだ。
「じゃあいくわよ。」
一匹のハウンドを仕留める。仲間のハウンドは,様子見を決め込んだらしい。
「チートを解放する。さあ、今から俺の言うことを聞け。まず、マントを脱いで、一発ギャグ。その後木を拳で三回殴りつけ年齢とともに自己紹介。」
思わず剣を、叩きつける。
「いてぇな。」
「いてぇなじゃないでしょ。バカなの?バカなの?一週回ってカバなんじゃない?」
「何を言うか。チートを使うんだ。つまりこの世の因果を捻じ曲げるわけだからこの世界に生きてたら、やらないことをしないとバグを発生させるなんて不可能だろうが。さあ早くやれ。」
ハウンドが再び唸り声を上げる。私はマントを脱いで地面に叩きつけた、ああ私の綺麗なお胸がこんな奴らに見られるなんて。ムカつくわね。
ハウンドが飛びかかる。それを剣でいなす。
言い忘れたがこの剣、切れ味も悪い。
打撃武器と化した剣でいなしながら、大木を拳で殴りつけた。痛い。これ痛いよ。
「16歳拳で。」
その瞬間だった。拳からものすごいエネルギーが湧いてきて……。
「チートコード入力を確認。今から十分間。拳レベルが90を超える」
そのままボスを倒して勝った。これが私の日常。不思議な剣、剣太郎との日常。
◇
「というわけなのさ」
彼は,ライオネル。伝説の剣士の末裔で、古い王族の血を引く男。イケメンで、優しくて爽やかで私の憧れ。
「へえーそうなんだ。」
私も声が上ずる。酒場のギルドの中では,様々な人たちが行き交い、みんな顔が赤い。
えと。上目遣いだっけ。しなきゃ。
「アミリアちゃんもクエストだっけ?よかったら一緒に行かない?」
はい!行きますっ。勢いよく返事をしようとするがどこからか声が聞こえる。
「げっ俺の嫌いなイケメンかよ。」
剣太郎!バカ!私は鞘を握る。
「あーバカそこはいやん。」
「アミリアちゃん?どうしたん?話聞こか?」
「いいえ。おほほ……大丈夫ですわ。」
私は引き攣った笑いを浮かべる。
「もう、私みたいな元世界じゃお姫様からしたら、こんな子にうつつを抜かしている場合じゃなくて」
ライオネルのカバンから、可愛らしい声が一瞬聞こえた気がした。
「こら、サリア姫。今はダメだ。」
ライオネルは急いでカバンの淵を縛った。
◇
ライオネルの前に立ちはだかる。ゴブリン達。ゴブリンは緑色の小鬼の一種だ。私は期待していた。ライオネルは,その名に恥じない剣士で、村では毎日夜遅くまで剣を握っていたから。
「アミリア。下がって」
「はい。ライオネル様」
ちょっといい感じ?今のヒロインぽくない?。見てた?
「おー女って怖。」
剣太郎。あんたねえ。
ライオネルに近づくゴブリン。さあ、ライオネルさま!一気に行っちゃってください!
「アヒャヒャヒャ」
ライオネルは,いきなり笑い出し、カバンから出したピストルを大事そうに抱いていた。
え?ライオネル?もしかして毒キノコとかマ○ンゴとか食べた?
「サリア姫。高笑いの後は、一人で悪役の真似をしてアミリアを脅迫?流石に意味不明ですよ。」
「はあ?元令嬢の私の言うことが聞けないわけ?こんなクソみたいな世界よりもっとすごいとこから来た私に逆らうの?」
「分かりました。マイマスター。」
ライオネルは,今まで大事に使っていたはずの剣を放り投げ、ピストルを構えながらこちらを振り向く。
「騙して悪かったな。アミリア。実は私が黒幕なのだよ。」
えと。芝居してるのバレバレだけど……。
「ふん。見たか。イケメンなんてのはな。俺の世界でもろくなもんじゃねえからな。裏切るぜ。」
剣太郎を再び鞘にしまう。
「あっそこ鞘に擦れる」
パチンと鞘を殴りつけた。
ゴブリン達は、何故か攻撃して来ない。あいつら、ライオネルの演技に騙されてやがる。
「さあサリア姫どうでしょう」
「いいわ。チートコード発動。『ラピッドファイヤ』」
サリア姫と呼ばれたピストルの銃身から、放たれた火花は、あっというまにゴブリンを蹴散らした。
「ライオネルさま?今のは?」
私は呆気にとらえて聞いた。
「ああ。なんか俺、サリア姫の言うこと聞けば最強なんだよな。あはは。今まで泥臭い修行してたのが馬鹿みたいだぜ。」
そう言って決めポーズをする。傍には丁寧に磨き上げられた剣が放り上げられたまま放置されていた。
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