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第10話 / 全23話
再び書庫への扉を開けて、階段をゆっくりと降りる。異様な匂いに二人も口数が減っていった。
震える手を伸ばして書庫の電気を付けると凄惨な光景が現れる。
部長が後頭部から血を流して倒れていた。周囲には段ボールが散乱し、その中に入っていた本が散らばっている。いくつかの本は血に汚れてしまっていた。
「……うわ……!」
「ひっ……! いやあああ!」
スイが目を見開き、千夏が体を震わせた。改めて電気の下で見るその姿に俺も胸の奥が重く痛む。
「部長……」
その時だった。
千夏の脚から力が抜け、階段の上でバランスを崩す。下にいた俺は咄嗟に彼女を抱きとめようとした。
体勢が崩れる。落ちる。血の匂いが間近に迫って――
部長の死体に覆い被さるギリギリのところで、俺は手すりを強く掴んで片手で体を支えた。
「ぐ、ぅっ……!」
「……せ、センパイ!! ごめんなさいっす、大丈夫っすか!?」
俺の上で千夏が顔を真っ赤にして慌てる。スイが少し焦った様子で声を上げた。
「……とにかく、離れて。このままだとハルトくんが第二の犠牲者になっちゃう」
「は、はいっ!」
千夏は顔を青くしたり赤くしたりしながらもなんとか俺のそばから離れた。俺の視界に手すりの向こう側、少し遠くに積まれた段ボールが映る。その位置を見た瞬間俺は目を見開いた。
「あ、あの……センパイ、その……!」
「……ちょっと待ってくれ」
「……えっ?」
俺は体勢を直し、改めて周囲を視線でなぞる。
「……これ、おかしくないか?」
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