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第3話 / 全4話
青い光が視界いっぱいに広がる。
目を閉じてもなお残像が残るほどの輝きだった。
やがて光がゆっくりと収まり、俺の目の前には半透明の画面が浮かんでいる。
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無料10連ガチャ
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思わず息を呑んだ。
前世では何度も見てきたガチャ画面。
ゲームを始める理由も、イベントを走る理由も、全部この瞬間のためだった。
異世界に転生しても、まさかまたガチャを引けるなんて。
(頼む……。)
(いいの、当たってくれ。)
父さんは隣を歩いている。
もちろん、この画面は見えていない。
俺は心の中だけで祈りながら、ゆっくりと『START』へ指を伸ばした。
カチッ。
軽い音とともに画面が暗転する。
静寂。
一秒。
二秒。
三秒――。
一本の青い光が勢いよく空へ駆け上がった。
(青演出か……。)
まだ分からない。
前世のゲームでも、ここから昇格することは珍しくなかった。
(頼む……!)
青い光が揺れる。
一瞬だけ輝きが強くなる。
(来るか!?)
しかし次の瞬間。
パァンッ!
青い粒子となって砕け散った。
(やっぱりか。)
少しだけ肩を落とす。
青い粒子が集まり、一枚のカードがゆっくりと姿を現した。
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獲得
No.001
木の棒
★☆☆☆☆
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<図鑑>
どこにでも落ちている木の棒。
子どもの遊びや、焚き火の薪として使われることが多い。
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(いきなり木の棒か……。)
期待していた分、少しだけ残念だ。
だが、ガチャはまだ始まったばかり。
二枚目のカードが現れる。
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獲得
No.002
布の服
★☆☆☆☆
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<図鑑>
動きやすさを重視した、ごく一般的な衣服。
冒険者見習いが最初に身につけることも多い。
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(着替えには困らなそうだな。)
三枚目。
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獲得
No.003
木のコップ
★☆☆☆☆
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<図鑑>
丈夫で割れにくい木製のコップ。
旅人の間では定番の日用品。
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(武器じゃないのかよ……。)
思わず心の中でツッコむ。
四枚目。
青い光の中に、わずかに別の輝きが混ざった。
(おっ……?)
期待が膨らむ。
光は少しだけ強くなり――そのまま収まった。
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獲得
No.004
初心者ナイフ
★★☆☆☆
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<図鑑>
見習い冒険者へ支給される小型ナイフ。
魔物との戦いでは心許ないが、旅には欠かせない一本。
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(Rか!)
思わず頬が緩む。
木の棒より、ずっと嬉しい。
これならゴブリンくらいなら戦えるかもしれない。
続いて五枚目。
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獲得
No.005
保存食 三日分
★☆☆☆☆
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<図鑑>
干し肉と固焼きパンの詰め合わせ。
味より保存性を重視した冒険者の定番携行食。
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(いや、ありがたいけどさ……。)
思わず苦笑いする。
残るカードは、あと五枚。
ここから巻き返してくれることを願いながら、俺は次の光を見つめた。
六枚目。
青い光が静かに集まり、一枚のカードを形作る。
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獲得
No.006
革靴
★☆☆☆☆
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<図鑑>
丈夫な革で作られた靴。
長距離を歩く旅人には欠かせない一足。
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(旅に出るなら必要だな。)
七枚目。
再び光が揺らめく。
今度は、ほんの少しだけ青よりも明るい光が混ざった。
(またRか……?)
期待しながら見守る。
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獲得
No.007
革の手袋
★★☆☆☆
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<図鑑>
手を保護する丈夫な革手袋。
剣やナイフを扱う際にも役立つ。
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(悪くない。)
(派手じゃないけど、ちゃんと使える。)
八枚目。
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獲得
No.008
丈夫なロープ
★☆☆☆☆
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<図鑑>
長さ二十メートル。
崖を登る時や荷物を固定する時など、用途は多い。
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(完全に冒険スターターセットだな。)
九枚目。
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獲得
No.009
火打石
★☆☆☆☆
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<図鑑>
火を起こすための必需品。
野営では欠かせない道具。
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(……キャンプ用品まで揃ってきた。)
そして最後。
十枚目。
青い光が今までで一番大きく膨らむ。
(最後くらい頼む……!)
鼓動が速くなる。
光は揺れ続ける。
あと少しで色が変わりそうな気がした。
(昇格しろ……!)
レオンは息を止める。
しかし。
光はそのまま静かに弾けた。
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獲得
No.010
木の盾
★★☆☆☆
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<図鑑>
軽く扱いやすい木製の盾。
初心者には十分頼れる防具。
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(終わったか……。)
少しだけ肩を落とす。
結果は――。
★☆☆☆☆が七つ。
★★☆☆☆が三つ。
派手さはない。
でも、並べて見てみると不思議なことに気付く。
(これ……。)
(全部、冒険に必要なものじゃないか。)
武器。
防具。
食料。
道具。
旅に必要なものが、一通り揃っている。
最初はハズレばかりだと思った。
だけど、これは本当にハズレなんだろうか。
その時だった。
――ピコン。
新しい画面が静かに表示された。
――ピコン。
新しい画面が静かに表示された。
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図鑑登録完了
10件の新規登録
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次の瞬間。
図鑑のページがひとりでに開き始めた。
パラ……。
パラパラ……。
ページがめくられるたび、さっき手に入れたアイテムが一つずつ登録されていく。
No.001 木の棒 登録済み
No.002 布の服 登録済み
No.003 木のコップ 登録済み
No.004 初心者ナイフ 登録済み
No.005 保存食 三日分 登録済み
No.006 革靴 登録済み
No.007 革の手袋 登録済み
No.008 丈夫なロープ 登録済み
No.009 火打石 登録済み
No.010 木の盾 登録済み
「……。」
思わず見入ってしまう。
空欄だった場所が埋まっていく。
一つ埋まるたびに、小さな達成感が胸に積み重なっていく。
(これだ……。)
前世でも、この瞬間が好きだった。
レアを引くことも嬉しい。
でも、それ以上に図鑑が埋まっていく瞬間がたまらなく好きだった。
さらにページをめくる。
No.011。
No.012。
No.013。
そこから先は、まだ名前すら表示されていない。
ただ黒いシルエットだけが並んでいた。
(まだ、こんなにあるのか……。)
武器だけじゃない。
防具。
魔道具。
素材。
料理。
魔物。
地域。
称号。
知らない項目が、どこまでも続いている。
(全部集めてみたい。)
自然と笑みがこぼれた。
その時だった。
画面が再び切り替わる。
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運命ポイント
0Pt
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(運命ポイント?)
画面には続けて説明が表示される。
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運命ポイントは運命を切り開く者へ与えられます。
・魔物の討伐
・未知の土地の発見
・人々への貢献
・図鑑の充実
その他、世界へ影響を与える行動により獲得します。
運命ポイントが高いほど、ガチャ内容は変化します。
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レオンは何度もその文章を読み返した。
そして、一つの答えにたどり着く。
(そういうことか……。)
神殿で老人が言っていた。
『ガチャ師は最弱職じゃ。』
――違う。
最弱だったんじゃない。
誰も、この職業の育て方を知らなかっただけだ。
ガチャを引くだけじゃ強くなれない。
冒険して。
戦って。
世界を知って。
運命を切り開く。
その積み重ねが、ガチャを強くする。
レオンの胸が高鳴る。
(攻略法を見つけた。)
(だったら、やることは一つだ。)
運命ポイントを集める。
そして、もっと強いガチャを引く。
気付けば家へ着いていた。
「レオン。」
父さんが玄関の扉を開けながら振り返る。
「今日はゆっくり休め。明日からまた忙しくなる。」
「うん。」
返事をしながらも、レオンの視線は画面から離れなかった。
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次の目標
運命ポイントを獲得せよ
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レオンは小さく笑う。
(まずは一ポイント。)
(ゴブリン一匹から始めよう。)
(第4話へ続く)
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第3話を読んでいただき、ありがとうございました!
初めてのガチャはいかがでしたか?
次回はいよいよレオンが村の外へ出て、初めて魔物と戦います。ガチャ師としての第一歩を、ぜひ見届けていただけると嬉しいです。
ブックマークや評価、感想をいただけると、これからの執筆の励みになります!
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