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第一章 火の魔法 FER(フェル) / 第2話
グレンが部屋を出ていった後、カイエは急いでノートを引っ張り出した。
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『
火のまほう
フェル → 火がでる
フェルティア → 火がとぶ
メモ
はっか、しゃしゅつ
』
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急いで書いたので字は少し汚いけれど、カイエは気にせず暖炉の前に座り込んだ。
両手をそっとお椀のようにして、息を整える。
「……フェル」
⸻何も起きない。
「フェル」
⸻やはり、何も起きない。
カイエは掌に力を込めて叫んだ。
「フェル!」
——やっぱり、静かなまま。
がっくりと肩を落としたその時、後ろから気の抜けた声がした。
「ふぇる」
ポッ
カイエの掌の中に、蝋燭ほどの小さな火が灯った。
カイエが慌てて振り返ると、クッキーの粉をまといながら、白黒リスがゆらりと尻尾を動かした。
「君……まほう、使えるの?」
白黒リスは木の実をほじくりながら、のんびり答えた。
「エコー」
「えっ?」
「ぼく、エコー」
エコーは木の実をパクッと齧った。
「エコー……」
カイエはノートを開いて書き加えた。
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『
エコー
しゃべる
まほうつかえる
』
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少し考えてカイエは一行、付け足した。
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『
たぶん どうぶつじゃない
』
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カイエはノートを持って、エコーのそばにちょこんと座った。
「私はカイエ」
「うん」
「エコーはなにもの?」
「エコー」
「……そっか」
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『
エコーというものらしい
』
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カイエは真剣な顔で、そのままノートに追加する。
「さっき、フェルって言ったよね?」
「うん」
「どうして火が出たの?」
エコーはしばらく考える。
「ふぇるだから」
「??」
「ふぇる」
ポッ
「ほら」
まるで呪文のようだ。
(じゅもん?)
その言葉の意味はわからなかったが、とりあえずそのまま書き込んだ。
エコーはノートを覗き込み、しばらく眺めたあと⸻
「へんなの」
ポツリと言って、再び木の実を口に放り込んだ。
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