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第27話 / 全29話
差し出した私の掌の上で、黄金の輪が不気味に脈動している。
鈍い光を放つその金属は、冷徹な鉱物の手触りを持ちながら、奥底では生き物の心臓のように蠢き、不吉な熱を私の皮膚へと与えていた。
私は、目の前の女がこれをどう扱うか、そしてその果てに二人がどのような終焉を迎えるかを、幾度となく見届けてきた。
女は迷うことなく、その小さく白い指先で冷ややかな金属へ触れた。
その瞬間、凍りついていた運命の歯車が軋んだ重い音を立てて回り始める。
彼女はとうに理解しているはずだ。
― これを手にするということは、彼の魂を永遠に自分の檻へ閉じ込めるということ ―
五百年の歳月に曝され、もはや風化を待つだけの彼を、あの岩山の重圧から引きずり出す術は、この呪いを共有すること以外にない。
自由を奪わなければ、彼は生きていけない。
支配しなければ、消えてしまう。
この絶望的な矛盾を、彼女は「慈悲」という名で呼ぶのだろうか。それとも、「愛」と呼ぶのだろうか。
女がその血塗られた輪を懐深くへと隠したとき、その薄い肩はすでに、分かち合うはずの死の重みに耐えているように見えた。
「……行け。また、あの山へ」
濃の向こうへ静かに消えていく女の後ろ姿を、私はただ見送った。
次に彼女と再び相まみえるとき、その命はどれほど削られ、どれほどの絶望に取り憑かれているのだろうか。
それは、救済という名の、あまりに美しく醜い心中だった。
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