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第11話 / 全29話
私達は、突如として周囲の岩陰から飛び出してきた数十人の男たちに完全に包囲されていた。男たちの武器は粗末だが、その瞳には獣のような貪欲さが宿っている。
「金目のものと、女の体を残して、とっととくたばりやがれ!」
男たちの視線が、私を捉える。男どもは、私の隣に立つ者の恐ろしさを理解してはいない。
彼は、心からの興奮を顔に浮かべ、周囲を取り囲む盗賊たちをゆっくりと見回している。五十人近くいるだろう、彼らの存在は、ただの獲物であり、彼の溜まった鬱憤を晴らすための玩具でしかない。
「人間ども。お前らの命は、石ころみてぇに軽い。動くんじゃねえぞ、すぐに肉片にしてやる」
彼の声には、抑えつけられた力と、血を求める本能が混ざり合う。彼は、一瞬、私に視線を向けた。彼の瞳が、許し、あるいは指示を求めているのが分かる。
恐怖も、嫌悪も、関心さえも浮かばない。ただ、彼がここでその怒りを爆発させ、力を誇示する必要があることを理解していた。彼の視線を受け止め、一切の言葉を発することなく、ただ静かに、ゆっくりと首肯した。 それは、彼にとって、最高の歓喜を告げる合図だった。
彼の口元に、獰猛で純粋な、獣の笑みが広がった。
「ははっ!ようし、お許しが出たぞ!感謝しろよ、人間ども!」
彼は、耳の裏から金色の針を取り出し、雷鳴のような轟音と共に一瞬で巨大化させた。長大な武具、如意金箍棒と化したそれが、赤土の大地に影を落とす。彼の姿はもはや従者ではなく、天を怒らせた大妖そのものだった。 彼は大地を蹴り、その武具を盗賊たちの群れに向かって、円を描くように一閃させた。
最初の衝撃音は、砕ける骨と、弾ける肉体の混合音だった。数十人の男たちが、悲鳴を上げる間もなく、彼の振り回す如意金箍棒の風圧と質量によって細切れの肉塊と化し、空中に撒き散らされた。血と臓物、そして砕けた人骨が、荒野の空に赤い霧のように広がっていく。 彼は、武具を振り回すたびに狂喜の雄叫びを上げ、力の解放に酔いしれていた。一撃、また一撃と、残された盗賊たちは逃げ惑うが、彼の猛烈な破壊の前には、何の抵抗も意味をなさなかった。彼は、一匹の獣として、獲物を狩る本能的な遊びに夢中になっていた。
数分後、周囲には、血と肉片が散乱し、荒野の赤土は、より濃い赤黒い色に染まっていた。 彼は、巨大な如意金箍棒を肩に担ぎ、高揚したまま私の前に戻る。
「終わったか…」
血の匂いに対する嫌悪も、死に対する憐れみも、彼の狂暴さに対する恐怖も、一切感じない。
私は、彼の力を称賛することも、彼の行為を非難することもなく、馬の腹を軽く蹴り、血の海を避けるように先に進み始める。
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