
看護師・佐伯千春は、夜勤明けの帰り道で二百五十歳の蝙蝠妖怪・久遠院夜行(やっくん)を拾った。 どうやら彼は、以前の契約者を失って行き場をなくしていたらしい。 血を吸う妖怪なのに好物はバナナ。 二百五十歳なのに、スマホもケーキも知らない。 「かわいい」 「……かわいいと言うな」 本人は威厳たっぷりのつもり。 でも、見た目はやたら可愛くて世間知らず。 その代わり、恩返しだけは異様に重い。 毎日迎えに来る。 体調を気遣う。 ホワイトデーには「三倍返し」を真に受けて、本気でケーキを焼く。 千春は「うちの蝙蝠」と笑い、 やっくんは「守るのは当然だ」と思っている。 恋人でもない。 家族でもない。 それでも気づけば、食卓にはいつも二人分の料理が並んでいる。 ──飼っているようで、飼われているような。 一人暮らしの看護師と、少し世話焼きすぎる蝙蝠妖怪の、名前のつかない共同生活ラブコメ。 ※現実の蝙蝠は、鳥獣保護管理法により許可なく捕獲・飼育できません。本作に登場するのは妖怪です。安心してお読みください。 ※カクヨム投稿作品を移植したものです。
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